沖縄見て乗る記

 私 にとっては近くて遠い県庁所在地、那覇市。南国情緒があふれ、心の洗濯に行くなら最高!のリゾート地、沖縄。その反面、政治的理由で人々の生活や経済が左右される場所でもあります。
 そういった土地柄で、衣食住の一端を担うクリーニング業界の動向はどうなっているのだろう。クリーニング店の経営は?利用する消費者の声は?新聞やテレビで見聞きする情報より、一度は自分の目で見て肌で感じたいと思っていました。
 そんな折、異国からミサイルが飛んで来るの来ないのと騒動になっていた2012年4月上旬、知人の誘いを受けて沖縄のホームクリーニング事情を視察する機会を得ました。短期滞在かつ限られた地域の視察ですが、沖縄の暮らしとクリーニング事情の参考になれば幸いです。(担当;岸)

  • 沖縄の第一印象
    東京・羽田から沖縄へは空路で約2時間半、ANAのボーイング777で上昇しながら富士山を眺め、高度10,000m超を経て那覇空港に到着します。
  • 着陸直前、滑走路の先端部に「めんそーれ、おきなわ(いらっしゃいませ、沖縄へようこそ)」のメッセージを発見。現地の気温は22~24℃、東京人の私にとっては初夏です。
  • 那覇空港の滑走路は、自衛隊との官民共用となっています。航空自衛隊の駐機場には一機30億円以上する主力戦闘機F-15Jが14機以上も揃い、空中早期警戒機E-2Cや対潜哨戒機P-3Cとともに日本南端の領空・領海を守っています。
  • 空港から市内へは路線バス、タクシー、そして沖縄唯一の鉄道となるモノレール「ゆいレール」で入ります。筆者は空港の近く、海水浴場「波の上ビーチ」へ徒歩で行けるリゾートホテル・・・に隣り合う安宿を視察拠点にしました。エメラルドグリーンの海は絵葉書のようにメチャメチャきれい!泳ぐ時間はありませんでしたが。(涙)
  • 那覇市内の様子
    那覇市内は九州・福岡市内と似ている印象を受けました。クリーニングを含め、本州にある全国チェーン店も数多く見られます。イオングループの「マックスバリュ」は県内各所にあり、Wikipediaによれば「日本で唯一、北海道から沖縄県まで全国をチェーン展開しているスーパーマーケット」とのこと。さすがにビールは、酒販店でも居酒屋でも地元・オリオンビールが目立ちます。
  • 在日米軍の歴史が長いためか道路が良く整備されており、通勤は路線バスよりもクルマとバイクが主力と見受けました。特に米軍関連施設が午後4時に終わるため、民間の午後5時終業と合わせて夕方の通勤ラッシュが2回あるそうです。
     観光客向けのレンタカーやレンタルサイクルも好立地にあります。筆者は沖縄の商圏を体感すべく那覇市内は徒歩で、郊外へは幹線道路R58を通り米軍嘉手納基地~読谷村までレンタサイクルで回りました。
  • 那覇市内から郊外へ
    那覇市内からR58で郊外へ向かうと、落ち着いた南国調の景観と自然が残っています。街並みは高い建物が少ないせいか見通しがよく、青い空が広く感じます。
  • R58を宜野湾市普天間辺りまで走ると、道沿いに「沖縄アクターズスクール」が現れます。芸能界で一世を風靡したSPEEDや安室奈美恵さんを輩出したことで有名ですね。
     このまま在日米軍・嘉手納基地を通り過ぎ、北谷の先にある読谷村へ向かいます。
  • リゾートビーチと残波岬がある読谷村は観光地ですが、さとうきび・紅いもの産地でもあり、便利な生活と自然が共存している印象を受けました。
  • 地元に密着したクリーニング店の他、長期滞在のリゾート客向けにコンビニと併設してコインランドリーがありました。
  • 市街・郊外を問わず一般家屋には独特のバルコニーと屋上があり、魔除けのシーサーが置いてあります。
  • 沖縄の暮らしとクリーニング事情
    全国的に見ると、沖縄はホームクリーニング需要の少ない地域です。気候は亜熱帯性に属するため、年間最低気温が10℃を下回ることはありません。冬は短く陽射しの暑い日もあるそうで、外出には厚手のジャケットやブルゾン、フリース等で十分とのこと。つまり、重衣料のクリーニングはあまり期待できません。北海道とは対照的ですね。
  • 県産業振興公社の担当者様によると政府が省エネルックを呼びかけて以降、背広などの正装が減ったとのこと。さらに官庁から始まった夏季のノーネクタイ運動でネクタイとワイシャツ姿が減り、数年前から普及に努めている伝統的な「かりゆしウェア」(開襟半袖シャツ)は家庭洗濯が一般的だそうです。
    ※「かりゆしウェア」は
      沖縄県衣類縫製品工業組合の登録商標です。
  • 私は、色落ちして風合いが出る「さとうきび染め」と家庭洗濯OK(脱色防止加工)のかりゆしウェアを購入。今夏はこれを仕事着にする予定ですが、のり付けせずに洗いっ放しでも粋で涼しげな感じがします。
     そんなわけで、那覇市内は「街を歩けば、クリーニング店に当たる」という状況ではありません。競合が少ないためか、仕上がり品質やお店の対応に不満を感じる方もおられました。
  • リゾート地のホテルリネン
    今回は、ホテル・リネンサプライ工場に立ち寄る機会がありました。50kgロット級の連洗システムが活躍しており、本州と変わらない洗濯設備と生産工程です。
     相違点を挙げるならば、この工場はリゾートホテルの被洗物が中心なので海水浴客の砂が多いこと、すすぎが悪いとリネンが変色しやすいこと、自然環境保護のために排水処理設備に配慮していることでしょう。
  • それから外国の観光客が増えているため、リネンの消耗(紛失)が多いのではないかと。私の安宿でさえ、「部屋のタオル・ガウンを持ち帰らないで」という張り紙がありましたから。
  • ざわわ、ざわわ・・・と温故知新
    読谷村では、4月1日に完成したばかりの「さとうきび畑」歌碑を訪ねてみました。この歌は森山良子さんの代表曲ですが、この地で「ざわわ、ざわわ」の歌詞が誕生したのです。広がる空と海を背景に、さとうきび畑に囲まれた記念公園となっています。
     この場所が太平洋戦争の激戦地であり、頭上を米軍機が頻繁に飛んでいる現実が心に響きます。
  • 那覇から往復60kmのサイクリング、筆者には貴重な体験でした。くれぐれも不発弾は持ち帰らないように。(笑)
  • 土地柄に合った販促、普遍の販促
    短い滞在期間でしたが、沖縄特有のクリーニング事情を知ることができました。そして、新しいライフスタイルへの対応や外国人観光客向けのクリーニングサービスなど、営業対応と販促のアイデア次第でクリーニング需要が掘り起こせる可能性を感じました。
     筆者がお勧めしている「異業種とのコラボレーション」は、異なる場所や離れた地域で成果を挙げているビジネスプランと響き合って活性化することも含まれます。
     そこで活用してほしいのが、各都道府県の産業振興センターや類似する公的機関。公費による助成で専門家を派遣し、中小企業・個人事業主の新事業や経営を支援する制度が用意されています。筆者は「福島県産業振興センター」と「(青森県)21あおもり産業総合支援センター」で主にクリーニング業向けの専門家登録を行っていますが、沖縄県でもお役に立てるよう、沖縄県産業振興公社・中小企業支援センターに専門家登録の手続きを進めています。ぜひ一度、ご相談ください。
  • 最後に、読谷村の特産品で作った銘菓「紅いもタルト」はネット通販の人気商品です。沖縄名物「ソーキそば」は、関西の出汁うどん風で美味いですよ!
    読者の皆様も一度行きませんか?
             めんそーれ、おきなわ!
  • ■クリーニング流通新聞2012年5月10号掲載